「有事の金」はなぜ?金投資の歴史から学ぶ、現代における金投資の真の役割とは


有事の金」という言葉を耳にしたことはありませんか?世界で戦争や金融危機が起きると、金の価格が上昇することがよくあります。しかし、なぜ金がそのような役割を果たすのでしょうか?

この記事では、金がなぜ安全資産と言われるのか、その歴史をひも解きながら、現代の投資ポートフォリオに金を取り入れるべき理由をわかりやすく解説します。


なぜ金は「無価値にならない」と言われるのか?

金は、他の投資資産とは一線を画す特別な性質を持っています。それは、価値がゼロにならないという点です。その背景には、何千年もの歴史の中で築かれてきた信頼があります。

希少性と普遍性

金は地球上に存在する量が限られている希少な金属です。そのため、紙幣のようにいくらでも発行できるものではなく、その価値が薄まることがありません。また、世界中のどこでもその価値が認められる普遍性を持っています。古代から現代に至るまで、宝飾品や貨幣として使用され、その輝きと美しさは人々を魅了し続けてきました。

金本位制と現代の変動相場制

金が通貨の裏付けとなっていた金本位制の時代には、金の保有量に応じて紙幣の発行量が決まっていました。これは、紙幣の価値が金によって保証されていたことを意味します。

しかし、経済の発展とともに金本位制は維持が難しくなり、特に1971年のニクソンショックによって、ドルと金の兌換(交換)が停止され、金本位制は完全に終了しました。

これ以降、世界は変動相場制へと移行し、通貨の価値は国同士の力関係や経済状況によって変動するようになりました。金の価格も、株式や債券と同じように市場の需給によって決まるようになります。


過去の歴史から見る金価格の変動要因

金は、歴史的に見て、インフレ金融危機などの有事の際にその真価を発揮してきました。

  • インフレ対策: 通貨の価値が下がる(物価が上がる)インフレ時には、紙幣の価値が目減りします。しかし、金の価値はモノと同じように上がることが多いため、インフレ対策として有効です。

  • 金融危機: 株式市場が暴落するなど、経済が不安定になると、投資家はリスクの高い株式や債券を売却し、安全な資産である金に資金を移す傾向があります。これが、有事の金と言われる所以です。リーマンショックなどの過去の金融危機の際にも、金価格は大きく上昇しました。


現代における金投資の3つの役割

現代の投資ポートフォリオにおいて、金はどのような役割を果たすのでしょうか。主に以下の3つの目的で金に投資する人が増えています。

1. リスク分散(ポートフォリオの安定化)

金は、株式や債券、不動産といった他の主要な資産クラスとの相関性が低いという特徴があります。つまり、株式市場が下落しても、金の価格が必ずしも下落するわけではないということです。

これにより、ポートフォリオ全体のリスクを抑え、安定した運用を目指すことができます。

2. インフレヘッジ

前述の通り、金はインフレに強い資産です。世界的な金融緩和や経済政策によってインフレリスクが高まる現代において、金はインフレ対策として重要な役割を果たします。

3. 通貨の信頼性低下に対するヘッジ

現代の通貨は、各国の政府や中央銀行の信用によって成り立っています。しかし、財政問題や政治的混乱などによって通貨の信頼性が揺らぐリスクもゼロではありません。このような通貨の不確実性が高まる局面でも、普遍的な価値を持つ金は頼れる存在となります。


株式や債券、暗号資産との違い

金 vs 株式・債券

株式は会社の成長、債券は利子収入を期待しますが、金はそれ自体が収益を生み出すことはありません。しかし、その価値が下がりにくく、変動リスクを抑えることができる点が最大の違いです。

金 vs 暗号資産

ビットコインなどの暗号資産も「デジタル・ゴールド」と呼ばれ、代替資産として注目されています。しかし、暗号資産は歴史が浅く、価格変動が大きいという不安定性があります。対して金は、何千年もの歴史に裏打ちされた信頼性安定性が強みです。


中央銀行が金を購入する理由

近年、世界各国の中央銀行が金の購入を増やしているというニュースをよく耳にします。これは、自国の通貨だけでなく、外貨準備に金を組み入れることで、経済の安定化を図る目的があります。特に、米ドルの基軸通貨体制に依存しすぎないように、リスク分散の観点から金が重要視されているのです。


まとめ

金は、単なる宝飾品ではなく、希少性普遍性に裏打ちされた、有事の際の守り神のような存在です。株式や債券が好調な時は目立ちませんが、経済が不安定になった時こそ、その真価を発揮します。

現代の投資家にとって、金はポートフォリオのリスクを低減し、インフレ対策を行うための重要なツールと言えるでしょう。

このブログの人気の投稿

登記されていないことの証明書の取得方法と委任状の書き方

🧐「35歳未満は健診がない?」協会けんぽの健康診断、若い世代も受けられる?

住民税の通知書の保管期間とは?大切な書類を正しく保管する方法