百舌鳥（もず）の由来とは？なぜ「もず」は三文字？堺市・百舌鳥古墳との関係も解説

日本の歴史や自然に興味がある人なら、「百舌鳥（もず）」という言葉を聞いたことがあるでしょう。しかし、意外とその由来や名前の意味、そしてなぜ「もず」という三文字なのかについては知らない人も多いはずです。この記事では、鳥の百舌鳥の由来から、堺市にある百舌鳥古墳群との関係まで、わかりやすく解説します。

百舌鳥（もず）とは？特徴と生態

まずは百舌鳥そのものについて見ていきましょう。百舌鳥はスズメ目モズ科に属する小型の鳥で、日本全国で見ることができます。特に冬に渡来してくる個体も多く、その鋭い嘴（くちばし）と特徴的な尾の形が目を引きます。

百舌鳥の最大の特徴は「獲物を木の枝やトゲに刺して保存する」という習性です。この行動から「百の獲物を舌のように使う」という意味で「百舌鳥」と名付けられたともいわれています。また、モズの鳴き声は「キィーキィー」と高く澄んでおり、秋の風物詩としても知られています。

「百舌鳥」という漢字は見た目からも不思議な印象を与えますが、由来は諸説あります。

獲物を多く捕ることから「百舌」
百舌鳥は捕らえた小動物や昆虫を枝に刺しておく習性があります。昔の人はこの習性を見て「百の獲物を舌にして扱う鳥」と表現したことが始まりとされます。
鳴き声が多彩で「舌のように話す」
百舌鳥は他の鳥の鳴き声を真似することもあり、その器用さから「舌のように鳴く鳥」と称されたともいわれます。
なぜ三文字か
漢字表記では「百舌鳥」と三文字ですが、読みとしては「もず」の二文字です。日本語では古来より漢字一文字や二文字を組み合わせて動植物名を表現することが多く、特に鳥類では漢字三文字で表されることも珍しくありません。「百舌鳥」という漢字は、そのまま漢字文化圏での命名の特徴を反映したものです。

堺市には「百舌鳥古墳群」という世界的にも有名な古墳群があります。ここでの「百舌鳥」は、実際の鳥とは少し異なる意味合いで使われています。

この古墳群の名前に「百舌鳥」と付いたのは、かつてこの地域に百舌鳥が多く生息していたことに由来すると考えられています。また、古墳時代には鳥が神聖な象徴とされ、百舌鳥が「権力の象徴」として古墳の名に採用された可能性もあります。

日本では、百舌鳥は昔から縁起の良い鳥、知恵の象徴として扱われてきました。特にその鋭い目と狩猟本能から、「悪霊を見張る守護者」として民間信仰にも登場します。

百舌鳥の生態や鳴き声は、自然観察だけでなく文学や地域文化に深く根付いているのです。

百舌鳥を知ることで、身近な自然だけでなく歴史や文化にも目を向けることができます。次に散歩や公園で百舌鳥を見かけたときは、その鋭い目と鳴き声に注目してみてください。鳥の生態や名前の由来を知ることで、普段の何気ない自然観察もぐっと面白くなるはずです。